戦後消えた?失った物を伝える最後の世代

今回は、何故おじいちゃん先生(三好徹)の小説と人となりについて書きます。
おじいちゃん先生にあって、僕にない物
あなたは古文をスラスラ読めますか?
読める人…、いるの?
スラスラ読めたら読めたで、その努力に拍手!
天才かよ!😆
古文って、文語体で書かれていて、日本語でありながら、意味が分からないですよね。
僕は、文語体から口語体へ日本語の形式が変わってから、
それまで文語体で伝えられてた内容が本から消えてしまったと思うんですよ。
それまでは、日本には脈々と受け継がれていた伝統みたいな物があったはず。
もし文語体のままなら、今頃、寝転びながらスマホで源氏物語とか読んだりしてたかも。
そんな人、今どき居ません。
でもね。
作家の三好徹、おじいちゃん先生は今年で88歳です。三好徹氏
戦争が終わった時、彼は14歳でした。
そうなると、
おじいちゃん先生の世代って、文語体がまだ読めたと思います。
戦後、日本人が失った物を伝える最後の世代が、三好徹先生世代だったのではないでしょうか?
実際に実績として、おじいちゃん先生は、文語体の資料をキッチリ読み込んで書いてます。
僕がおじいちゃん先生の本を読んでいいな、と思うのは、
口語体の本だけでは知らなかった歴史が分かるところです。
例えば、前々回の話に出て来た
陸奥宗光。
日本史の授業では日露戦争後のポーツマス条約で不平等条約を改正した政治家としか教科書に出て来ません。
陸奥宗光は、
息子を足尾銅山鉱毒事件の関係者の養子にしたなんて、1文字も出て来ない。
日本という国は、その辺りを
「公共のために人物名(または会社名)を晒せない」
といって、教えてくれません。

足尾銅山もそうですが、公害の歴史なんて酷いです。
試しに
新潟水俣病をウィキペディアで調べて見ると良いですよ。
すっごく短いので、すぐ読めます。
原因を読み飛ばして、経過だけなら1分かかりません。全部で2分程度。
↓
〇第二水俣病
こういう
教科書にない事が、僕の若い頃は調べ方すら分かりませんでした。
でも、おじいちゃん先生は、知ってた(と思う)。
文語体でなくても、今の時代は調べたら分かる事も増えているのが、救いですね。
〈おじいちゃん先生の経歴〉
僕は前回も書いたように、
おじいちゃん先生の感受性が好きで読んでます。
そんな、おじいちゃん先生は、実はかなり成績優秀者だったみたいです。
読売新聞社に主席で入社して
(その年の次席が渡邉恒雄氏でした。昔は「三好徹」のウィキペディアにその逸話が載っていましたが、今は書き換えられてます。他の調べ方で読めるけど。)
どうもよく分からないのですが、渡邉恒雄氏はおじいちゃん先生より4歳年上です。でも同期らしいです。
そんな中、
おじいちゃん先生は世渡りが上手くありませんでした。
読売新聞社での出世より、小説家の道を志します。
おじいちゃん先生、小説家を志す

僕は、おじいちゃん先生が新聞記者として、職人さんのような技術があったんじゃないかと想像してます。
彼は直木賞を受賞し、作家として大成した後も、『おれは、小説はさほど上手いとは思わないが、
新聞記者としては東京で五本の指に入る』と言っていたとか。
どういうシチュエーションで言ったか分かりませんが。
1977年にさる小説を連載する前に
「小説は花も実もある嘘八百だ」
「いい小説は同時に大衆娯楽作品でもなければならない。ヘミングウェイも、ある意味ではドストエフスキーも、そういう側面を備えていた」
と言っていたそうです。
おじいちゃん先生は、娯楽作品な部分もないと、読まれないと知ってたんですね。
ただ、僕が小説を読んで思ったのは、おじいちゃん先生は
正直すぎるのが玉に瑕。
おじいちゃん先生は、チェ・ゲバラの小説を書いてますが、僕はあんまり興味を持って読めませんでした。
僕が興味を持って読めたのは、チェ・ゲバラが医者を目指していたのに、バックパッカーのツーリングで各国を回る内に、自分のやりたい事が固まった辺りでした。

終盤に入って、読むの止めようかと思いながらページをめくる内に、
突然おじいちゃん先生が小説中でつぶやきを入れていました。
「私はこの物語を何故書き始めたのだろう」みたいな。
いやー、正直は美徳かもしれませんが、小説家がそれ言っちゃダメなんじゃね?

そう思いましたが、おじいちゃん先生ファンとしては、レアな体験で良かったのかもしれません。
あと、チェ・ゲバラは、日本に強行日程で訪れた事があります。

短い時間の中、原爆資料館で凄惨な写真を見ながらゲバラは険しい表情で
日本人にこう尋ねたのだそうです。
「君たちは、アメリカにこんなひどい目に遭わされて、どうして怒らないんだ」
これは、日本人として、心に響く言葉ですね…。

日本から消えてしまったものは何なのか。
あなたも、おじいちゃん先生の本を読んでみませんか?
『チェ・ゲバラ伝』
今回は、ここまでです。
ここまで読んで下さった皆さん、お疲れさまです。ありがとうございました。
(^^ゞ

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